交通事故による損害賠償請求

交通事故で弁護士を付ける理由は3つあります。

  1. ①損害賠償の金額が上がる場合が多い。
  2. ②自動車保険や火災保険などについている弁護士費用特約で、実質費用なしで依頼できることがある。
  3. ③認められた後遺症の程度に納得がいかなければ、最終的に弁護士に依頼する必要が出てくる。

さだもと法律事務所は、交通事故による損害賠償の案件を多く手がけています。
交通事故による損害賠償事件は、取扱案件の中で当事務所が最も力を注いでいる分野ですので事故に遭ったらお早めにご相談ください。

交通事故の損害賠償請求で知っていて欲しいこと

交通事故に遭ったときに登場する保険会社の話し方

交通事故に遭ったときの損害賠償の問題について、気をつけなければならない点を説明します。
交通事故に遭った場合、ほとんどの場合、加害者が契約している保険会社が、治療費の支払いを含め、賠償金の支払いをします。
しばらくの間は、保険会社が治療費を直接病院に支払ったり、通院交通費や休業補償の支払いをしてくれたりします。

ところが、ある時期(いわゆるむちうち症の場合は事故後およそ3ヶ月から6ヶ月)を過ぎると、保険会社は示談をするために「症状を固定してもらってください」と言ってきて、場合によっては支払いを一方的に止めてくることもあります。
そして、保険会社が「損害賠償額計算書」などという名の計算書を示してその金額で示談するように言ってきます。

法律家でなければ、事故後、世話になっていて、色々と説明してくれる保険会社の担当者は専門家であり言っていることは間違いないことだ、と思ってしまい、保険会社の人が言うのであれば、それ以上の金額を要求することはできないのだろうと思って多くの人が示談しています。

損害の金額には3つの物差しがある

しかし、保険会社が提案する「損害賠償計算書」に記載されている項目のうち「慰謝料」などの金額は、保険会社にとって都合のよい、低い基準の金額なのです。
というのも、一口に「損害」といっても、交通事故の場合は、①自賠責保険基準②任意保険基準③裁判所基準の3種類があって、その金額は、①→②→③の順に高くなるのです。

私たち弁護士が要求するのは、③の基準による金額で、保険会社が提示してくるのは保険会社が決めた保険会社にとって都合の良い②の基準なのです。
ちなみに、①の基準はいわゆる強制保険の支払いを請求する場合に法律等で定められている基準で、保険会社と交渉をするときには考える必要のない基準です。

③の基準による金額は、裁判をすれば裁判所が認めてくれるであろう金額なので、交通事故に遭った人が請求できる金額は、本当はこの金額なのです。
保険会社は、このような説明はしてくれません。

私が受任した事件の中で、保険会社から「裁判所基準というものがあり、それは自分たちの任意保険基準とは違うのだ」という説明を受けたという事例は一件もありません。
この保険会社との示談を弁護士に依頼すれば、裁判所基準を前提に、保険会社と交渉をし、その金額により近づく金額での賠償を実現できるのです。

賠償額UP / (1)自賠責保険基準 | (2)任意保険基準 [保険会社はこの基準で算定] | (3)裁判所基準 [弁護士はこの基準で算定]

交通事故の処理手順

交通事故被害に遭ったときの対応の流れを順番にご説明いたします。

あなたは今どの状態ですか? ─交通事故対応の流れをご紹介!─

事故発生

[1] 治療中の対応 | 治療通院 → 診断書作成(症状固定)→ 後遺障害手続き →「異議申し立て」→ 後遺障害認定

[2] 保険会社との交渉 | 損害賠償請求 → 示談交渉 → 交渉成功/決裂

[3] 裁判対応 | 交渉決裂時は裁判

正当な賠償金獲得!

後遺症について

交通事故に遭って病院で治療して、完全に治ってしまうのであれば、保険会社と話しをする損害の中身のほとんどは慰謝料の金額の問題になります。

不幸にも、治療をしても、どうしても事故後の症状が治らない場合を後遺症といいます。
後遺症が残ってしまった場合、損害として①後遺症による慰謝料後遺症による逸失利益(後遺症があることで、仕事に障害が出て、収入が将来的に減少してしまったことによる損害)が、賠償の金額に加わります。

後遺障害についての保険会社の話し方

後遺障害についての第1ステージ

保険会社は、後遺障害を認定する機関である損害料率算出機構(以下「機関」といいます)に、被害者の方に後遺障害が残っているか、残っているとしてその程度はどの程度なのかの認定をしてもらいます(なお、この認定は、被害者が、加害者の自賠責保険を通じてしてもらうこともできます)。

その「機関」が、後遺障害がない(非該当)、ある場合その程度(最も重いものから最も軽いものまで、1級から14級と14段階で区分された「等級」と呼ばれるものがあります)を判断し、この結果が保険会社を介して被害者に伝えられます。

保険会社は、この認定をもとに、①後遺症による慰謝料、②後遺症による逸失利益を計算し、提示してきます。
なお、等級が重いほど損害賠償の額は大きくなります。

後遺障害による損害にも3つの物差しがある

ここでも、保険会社が提示してくる金額は裁判所基準ではなく、保険会社目線の任意保険基準なのです。
弁護士に保険会社との後遺障害がある場合の示談を依頼すると、ここでも裁判所基準を前提に保険会社と交渉をし、その金額により近づく金額での賠償を実現させることができます。

後遺障害についての第2ステージ

「機関」によって、後遺障害が認められなかったり、認められた等級が低すぎると思われる場合、異議申し立てという手続をして、「機関」に改めて再認定をしてもらったりすることができます。

この手続きは保険会社はしてくれないので、被害者の方が自分でするか、弁護士がしなければなりません。
でも、再認定とは言っても「機関」が後遺障害の有無、程度を判断する物差し(基準)は、法律等で定められているもので、厳格な判断がされるので、手続きをしても認定が変わらないことも多いのです。

「機関」の認定が変わらない場合、もともとの認定のままで、保険会社と交渉をするか、認定を争って裁判をするかのいずれかを選択をしなければなりません。

後遺障害についての第3ステージ

「機関」によって後遺障害が認定されなかった、認定された等級に納得が行かないときは、裁判(訴訟の提起)をし裁判所に適正な等級を認めてもらい、加害者に適正な等級での損害賠償を命じてもらうことができます。

ここで大事なのは、後遺障害による損害について裁判所が判断するときの物差しは、「機関」が認定するときに使う法律等で決められた物差しではなく、裁判所は、この物差しには縛られないということです。
裁判所は、「損害の公平な分担」という目線でみて、後遺障害として認めるべきか、認めるとしてどの程度の重さのものと認めるのか、ということを判断するのです。

弁護士に裁判を依頼すると、裁判所に対して法律等の基準に縛られない判断をしてもらうよう、活動をします。
さだもと法律事務所では、相当数の事件において、裁判所に「機関」が認めなかった後遺障害を認める判決を得て、「機関」が認めたよりも高い「等級」での損害を認めてもらう判決を勝ち取っています。

なお、第2ステージの判断は時間がかかるので、これをせずに、第3ステージに行くというやり方もあります。

弁護士 佐田元 眞己